【Q】スポークの張り調整について
  笠岡 投稿日:2002/01/17(Thu)

ホイールのスポーク張力にムラ(打音の違い)があったので一度調整しようかと思い質問させて頂きました。
張り(張力)の調整は,スポークの「打音」で聞き分け,均等に調整する旨の記述を書籍で見かけますが, トライアルに関しても同じ整備要領でOKなのでしょうか?それとも飛びなどで負荷が大きいため,あえて強め, もしくは弱めの張力に設定するものでしょうか…。何卒ご教示のほどお願い致します。

【A】増し締めの注意点!

 <張り(張力)の調整は,スポークの「打音」で聞き分け均等に調整する旨の記述を書籍で見かけますが, トライアルに関しても同じ整備要領でOKなのでしょうか? >ですが、アンタってそれが出来ますか? スポークの「打音」で聞き分け均等に調整するなんて、不測の事態には 全知全霊を持ってあらゆる法規法則を適応し油断なく対処する、なんて書いてある国会答弁の原稿のような文章。 いち民間人ライダーに出来るわけないですやんか。こういうことを書いて「文売り業」をやっているやつに限って「お前やって見ろ」に あわてふためくことでしょう。

 MontesaもGASーGASもBetaもシェルコも、ホイルは自社生産ではなくてすべてバルセロナのとある場所とあ る会社で組み立てています。この会社はリム/スポーク/ハブな どの各パーツを持ってきて組み立てているだけです。このスポークの張りというかリムのセンター出し方法は、皆さんが知っている自転車屋さんがやっているように、あらかじめリムとハブにスポークを組んで「センター出しスタンドに入れて、ホイルをくるくる回しながら順番に上下左右の振れを取りながら手仕事で締めていく」という方法ではありません。

 あらかじめリムとハブにスポークを組んでまでは手作業で同じですが、センター出し方法が違います。仮組み したスポークゆるゆるのホイルを、センターが出ている位置を固定された中心のハブ軸と外周のリム軸に固定します。この時点でスポークはゆるゆるですがハブとリムは 自動的にセンターが出ている状態なわけ。で、専用のエアツールを持ってきて、ゆるゆるのスポークのニップルを「ウィンウィンウィンウィン」と順番に締めて1回転するのです。で、これで終わり。最後の増し締め確認作業はしていませんでした。前ニップルも後ろニップルも同じ専用のエアツールを使っていましたから、新車のホイ ルは前も後ろも同じ力でニップルは締め付けられているのです。

 まずは新車のホイルのスポークはこうやって締め付けられているということを、知識として知っておいてくだ さいね。そしてその力は、けっこうゆるゆるだということ もです。
 さて、新車のスポークは乗っていると必ずゆるみます。ですから、新車の時は頻繁に、乗り込んでからは時々で構いませんから、ゆるみを確認して増し締めをやりまし ょう。スポークの「打音」で聞き分けるなんて、トルクレンチを必ず使いましょうと 同じで、由緒正しい取り付け状態でしか判断できません。私でもいちいちニップル回しで確認しています。その手順ですがここではリムの左右の振れをとるという「高等な技」はなしにして、単に増し締めの注意点だけ書いておきます。

1) 新車は必ずリムのセンターが出ています。でも、ニップルの締め付ける力は思っているよりもゆるいのです。 それは何故かといえば「強く締めるとどこかにしわ寄せがきて、なかなかリムのセンターが早く簡単に出にくい」 から。で、新品組み立て工場を見て分かるとおりに、ゆるい目なんだけど、きっちりセンターを出す方法にしているわけ(納品時のみかけが大切)。

2) 新車の時にちょこちょこまめに増し締めをしておけば、以後そうはセンターの狂いもなく、リムは打ち付 けて変形しない限り由緒正しくセンターで回ります。

3) 締め方ですが、これはニップルを順番にひとつずつ次から次へ締めていくのでなくて、ひとつ締めると二つ飛ばして3番目のニップルを締めていく方法をとってください。ヤマハの取扱説明書にも同じ事が書いてあります。

4) 空気バルブのついている隣のニップルを締めたとします。すると次は隣のやつから1.2.3と数えて3番目のニップルを締めていくのです。シリンダーヘッドの周りのボルトを締めるのに、隣どおし順番に締めるのでなくて、対角線上に締めるのと同じ事です。でも、シリンダー ヘッドは小さくて数が少ないから、対角線上に間違いなく 締められるけどホイルは大きいし数が多いから対角線上は無理。で、ニップル3つ飛ばしだと左右を交互交互に少し離れて締めていくからベストです。

5) この方法だと、やってみれば分かりますが3周で元の位置に戻ってきます。戻ってこなかったら、それはアンタがどこかで順番を間違えているので。セクションの順番待ちは、順番飛ばして前に進んでもいいけど、 これは順番飛ばしはいけません。

6) で、緩んでいるニップルは当然締めていくのですが、すごく緩んでいるニップルと少し緩んでいるニップルの2つが必ずあります。この場合は、すごく緩んでいるニップルを、少し緩んでいるニップルと同じくらいにまでゆるく締めます。この時、少し緩んでいるニップルは手を出さずに締めないでください。まずは、ゆるんでいるニップルを、すべて同じくらいのゆるみ量にするのです。

7) ここから、ゆるんだニップルをまた締め付けるのですが、締め付けるのも3回くらいに分けて締め付けていきましょう。絶対に、一気にすべてを1回で最後まで締め付けないこと。これは性格上の問題も出てきますが、 根暗でしつこくネチネチいやらしくの性格の人がベストです。

8) 前スポークはあまり強く張るとステアに前タイヤを当てたときに反発が強い、という人がいましてゆるい目がいいというかもしれません。でも、Betaにいたランプキンも健一もそんなことは関係なくけっこう「ギギィ!」 という音がするくらいに最後は強く締めています。後ろも同じです。

9) 今のトライアルはステアケースに行くときの衝撃がすごいですから、新品のスポークでも折れます。これは消耗品と考えて「何で折れるんやろ」と考えないこと。スポークは折れるものと割り切ってください。で、一番悪いのは、スポークが折れたのに気づかず、そのままの状態で乗り続けることです。こうなると、またその横のスポークは折れてくるわ、何日かして気づいてスポークを継ぎ足して修正しても、残ったスポーク自体全部がしなってしまいもう元のようにセンターは出ず完全には戻りません。

10) だから、Rタイヤがパンクした時に差し込む「ミミズ」みたいなのを皆さん持っているように、前と後ろのスポークとニップルを何セット必ず持っておくことです。私達はサポートで持ち歩くリュックサックの中に5セットずつ持っています。藤波チームも同じです。

11) 締め付けるニップルレンチですが、すべてのメーカーけっこうサイズがゆるく作ってあります。で、ニップルを強く締めすぎてなめてしまうことがよくあると思います。私はこうならないように、慎重に叩いて少し幅を狭くしてピッタシに合わせています。叩きすぎて入らなくなったら、ヤスリで、これまた慎重に上下が平行になるように削って修正しましょうね。

12) 以上の行程が正しくできるようになってから、左右のふれ取りに挑戦しましょう。

ニップル締めはネチネチ締めあげ忍びよるサタンの弟子になるべし(ヨーダ13教2)