【Q】ケッチン
  投稿者:高橋 投稿日:2002/01/19(Sat)

 '00Rev-3に乗るキャリア2年目の中年NBです。
3年前にエンデューロで左足首を粉砕骨折して傷害が残り、健一選手の手首と同じく3分の1しか動きません。曲げたり強く足を着いたりしたらかなり痛みがあります。
 実はエンジン始動時にしょっちゅうケッチンが返ってきて困っているのです。たとえ首尾よく始動できたとしても体重を乗せて蹴るだけで少々痛みがありますので、加減しながら踏んでいるせいでしょう。おそらくマシンに問題はないと思います。
 普段はなるべく右足で始動しますが、競技中のエンスト時には爪先で思うようにキックアームが引き出せないこともあって足を着かずに再始動することが困難でもあります。
 プラグは火花の強いタイプ(Vや極細電極)を試しましたが体感できる違いはありませんでした。圧縮を落とせば踏力が軽減されるはずですが、犠牲にするパワーに見合うほどの劇的効果があるのか疑問に思ってます。始動性を良くしてケッチンを減らすためには他にどのような対策が考えられますか?

【A】左キックのわけ

 たいへんにご同情いたします。でも、頑張って下さいというエールしか送れないことが残念です。質問内容は前後しますが

<圧縮を落とせば踏力が軽減されるはずですが、犠牲にするパワーに見合うほどの劇的効果があるのか疑問に思ってます>は、その通りでしてキックを軽くするほどに圧縮を落とせばトライアルになりません。世界選手権の現場では会場の標高によっては、すごく圧縮を上げたり下げたりいたします。でも、キックの踏力はなんにも変わりませんでした。キックアームを継ぎ足して長くするのも手ですが、経験上、Betaのアルミキックは溶接して継ぎ足しても、溶接部分の熱処理をキチンとしないとなまくらになって必ずそこから曲がってきます。でもアルミ鋳物ですから、溶接後の熱処理は無理だと思います。

< 始動性を良くしてケッチンを減らすためには他にどのような対策が考えられますか?>は、鹿児島のKOレーシングの太田さんがデコンププラグを売り出していたような気がします。実際にテストしたことがありませんから、能書き通りの性能かどうかは知りません。

<普段はなるべく右足で始動しますが>ですが、Beta Motorのラポさんもあのミリオさんも、マシンの左側に行ってハンドルを右にきっておいて右足でキックをする方法でエンジンをよくかけています。私もよくそうします。

<競技中のエンスト時には爪先で思うようにキックアームが引き出せないこともあって足を着かずに再始動することが困難でもあります>ですが、一番の問題はBetaのマシンが過去も現在も左足キックであるということが最大の理由なのです。他メーカーのマシンのように右キックだったら支障はありません。まずは何故Beta Motorが左キックにこだわっているのかの説明からします。Beta Motorが左側キックにこだわり続けている理由は2つあって・・とその前に、機械的構造上、エンジンを上から見てフライホイルの反対側に、必ずキックのあるクラッチ本体 がくるということを理解してからの話し。

A)フライホイルよりもクラッチ本体の方が大きくて、右側にクラッチ本体がくると後ろブレーキペダルの位置が自由にとれずに苦しくなる。あげくに、キックシャフトとキックも右下にきてさらに後ろブレーキペダルの位置がきびしくなる。

B)後ろブレーキを踏んだまま、キックが出来る。

この、後ろブレーキを踏んだままキックが出来るは、今のバック禁止のトライアルでは大切で、世界選手権ベルギー大会のあるセクションでBetaからMontesaに変わった世界チャンピオンのランプキンにこんな事がありました。

・少しの登りのセクションでエンストしました。すかさず、セクションの中で前ブレーキと後ろブレーキをかけてスタンディングでこらえます。このまま、エンジンがかからずに足をつけば5点。同じくバックしても5点のパターンです。

・この登りの地形、前ブレーキだけではマシンのバックを支えきられない角度。後ろブレーキでマシンをストップさせているのです。

・で、ランプキン、電光石火もの凄い早さで踏んでいる後ろブレーキを離して右キックをしました。見事に一発でエンジンはかかりましたが、もの凄いスピードとはいってもバランスをとりながらの中、踏んでいる後ろブレーキがなくなるのですから、バックを誰が見ても30cmはしました。で、オブザーバーの判定はバックの5点を宣告します。

・ランプキンがこの時に、Betaだったら5点にはならなかった、と言っていたのを覚えています。

 Beta以外のマシンが、何故すべてキックが右、つまり右にクラッチ本体、左にフライホイルを持ってきているのかは不明ですが、Betaが【後ろブレーキを踏んだままキックが出来る】【後ろブレーキペダルの位置を自由にとれる】の2つの目的のため、右側にフライホイル、必然的にクラッチ本体は左にきて当然キックも左の配置となったのです。

 Beta Motorは永遠に左キックにこだわり続けることでしょう。左キックがかなり身体的に障害なら、残念ですが右キックのマシンメーカーに乗り換えるしかないかもしれませんね。

残念無念、どうしょうもないときは鬼耐のダルマ和尚さん(ぽんぽこ和尚寺4文1基)