【Q】ガソリンとオイルの混合比(+慣らしについて)

 はじめまして。お聞きしたいのですが、新車を購入する予定なのですが初めて入れるガソリンとオイルの混合比は少し濃い目にしたほうが良いのでしょうか?今まではRTLに乗っていて、サービスマニュアルを見ると最初から80:1と書いてあったのですが、外車はどうなんですか?前にテクノを買ったときは、最初の1タンクは60:1、次に70:1で2タンク走り、それからはずっと80:1で。という風に教えてもらったことがあるのです
が、RTLでそれをやるとかぶりまくり、チャンバー内がオイルでベトベトになりました。次はREV3かガスガスにしようと思っているので、新車時の混合比を教えてくださいませ。
よろしくお願いします。

【A】慣らしは不要、始めからいつもの80対1でガンガン乗って下さい。

(プラグがかぶるという事) 

 私のようないち小作人が大メーカのRTLについて「どうのこうの」言うのはもってのほかですが、日本で一番HONDAに強いチームミタニの親分の三谷知明さんが言うように「RTLは死にやすい」のようですね。死にやすいとは、つまり「プラグがかぶりやすい」の事です。その昔は「Vプラグ」、今は「イリジウムプラグ」が時代の最先端プラグですが、三谷さんから「このイリジウムプラグはすごくパワーもあっていい感じなんだけど、RTLはけっこう死んでしまうことが多い。BETA/REV-3はどうなるかテストしてみませんか」って、去年の北海道大会の時にNGK5番相当のイリジウムプラグをいただいたの。

 Rev-3はこのプラグが大当たりで、今まで使っていたNGK「BP5ES」よりも断然いいのです。これすべての回転域で、低速も力強いし上もよく回ります。で、プラグをはずしてみても「えーっ、これで火が飛んでいるの?」というくらいにカーボンが付いていてもまったく死んだ経験なし。今、イタリアのBeta Motorに置いてあるヨーロッパ健一用のRev-3にも当然このイリジウムプラグが付いています。
 経験上、プラグが死なない死にやすいは、キャブレターのセッティングもあるけど、これはエンジンそのものの性能の部分が多いのです。ですから、BETA/テクノもREV-3も、キャブレターのどんなセッティングでも死にませんが、RTLは上手にセッティングをしないとかぶりやすいエンジンなのかもしれませんね。

 今紹介したイリジウムプラグは、ミタニ鈴鹿店でも神戸店でも置いてありますから手に入れることは可能です。品番はNGK-BPR5EIXでして、日本のトライアルの範囲では熱価5番で一年中夏でも冬でもこれで十分に対応できます。買って取り付けるときは、火花が飛ぶところの隙間が0.8ミリになっていますから、0.6ミリに調整してください。隙間が広いと「火花は飛びにくいけど飛ぶと強い」で、隙間が狭いと「火花は飛びやすいけど飛んでも弱い」です。経験上、トライアルには0.6ミリの広さが最適ですね。

(新車の慣らし運転という事)

 トライアルのワークスに「慣らし」という言葉はありません。ロードレースもやっていたエトスデザインの元全日本チャンピオンの近藤さんに「ロードって慣らしやるの」と聞いたことがありますが、答えは「ノー」です。健一は世界選手権はドイツともてぎで、全日本は中部で、大転倒エンジン全開になり止めきられずにエンジンが焼き付きました。この場合、シリンダーとピストンとリングを交換するのですが、これはすべて新品を準備していまして、取りつきからエンジンが再びかかるまで25分がワークスメカニックの必要時間です。で、大会中ですから慣らしもへったくれもなく、セクションによっては全開全開また全開です。これで、大会後にエンジンの調子がおか
しくなったりパワーがなくなったりしたことはありません。

 「慣らし運転」というのは今のメッキシリンダーに関しては「時代遅れの常識」です。確かに鉄シリンダーのエンジンは「鉄(シリンダー)と鉄(ピストンリング)のこすりあい」ですから必須科目だったと考えます。でも、これは今のアルミシリンダーのポーラスメッキやニカジルメッキの時代にはまったくやっても意味がないのです。つまり、鉄シリンダーはミクロの単位で見るとデコボコですから、オイルストーンで磨いてなめらかにするように、オイルを多い目にしてあまり回転を上げないようにして始めは乗ってやることは必要だと思います。
 普通の鉄を鉄切りノコで切ってみますと分かりますが、鉄はすぐに歯がくい込んで切れますが、同じ材質の鉄でもメッキしている鉄は、メッキの上から歯を当ててもツルツル滑るというか、ようするに鉄切りノコの歯よりも硬いのです。そう、ポーラスメッキやニカジルメッキはすごく硬くて始めからミクロの単位でデコボコがありませんから「オイルストーンで磨いてなめらかにする」ような慣らし運転はやっても意味がないのです。

 何年か前に、混合したガソリンだと思って生ガソリンを入れて練習に行ったことがあります。タンクの中にまだ残っている混合ガソリンと生ガソリンが混ざっているから多分「500対1」くらいですが、15分くらいで「シャーシャー」っていう音がし始め、おかしいなと思って乗っていたらいきなり「ギヤァーン」という音がしてエンジンが止まりました。山から家までマシンを押して帰り、シリンダーを開けたら、シリンダーとリングは少ししかかじりついておらずに、クランクベアリングが極端にゴロゴロしているのでエンジン全バラにしてみたらやっぱりクランクベアリングがかじりついていました。のように、500対1でもシリンダーは平気なくらいに硬いのでして、これより先にベアリングがいかれます。だから、シリンダーの慣らし(表面磨き)は無意味つーわけ。

 【最初の1タンクは60:1、次に70:1で2タンク走り、それからはずっと80:1で。という風に教えてもらったことがあるのです】は、机の上の理論です。信頼できるオイルを使っているとして、始めからいつもの80対1でガンガン乗って下さい。皆さんの乗り方は、健一レベルからすると「いつでも一生慣らし運転の乗り方」のレベルですから、絶対に大丈夫です。始めにボトボト乗っていると、エキパイやチャンバーやサイレンサーにたまった「ベトベト」はあとからいくらバンバン乗っても取れはしないのです。メカニックやセッティングは宗教と同じで「信じるか信じないか」はあなた次第ですけどね。

慣らしが必要というアナタ、見れば一生慣らし運転の乗り方しかしないから慣らしは必要なし(慣らし道1号の3)