【Q】フロントフォークの動きをよくするにはどうしたらよいでしょうか?

こんにちわ!僕は始めて8ヶ月になりますが、今’03年Rev−3に乗っています。そこで質問なのですが、フロントフォークの動きをよくするにはどうしたらよいでしょうか?また、フロントフォークのオイルをやわらかくしたらどうなりますか?是非お願いします。

【A】フォークは正しく取り付け、接触抵抗を減らしましょう!

 フロントフォークって上下しますよね。だから、その上下する部分の接触の抵抗を出来るだけなくしてやるのがすべての作業です。具体的には以下の2点です。

(1)フロントフォークの内部の可動部分の抵抗を、摺り合わせて極限まで少なくする。
(2)左右のフロントフォークの取り付けを、前タイヤや前フェンダーのついているスタビライザを含めてストレスのないように正しく組み付ける。

● 具体的な説明
 
(1)の、フロントフォークの内部の抵抗部分をすりあわせてなくすですが、これはシロウトには無理というより、専門ショップでも内部構造の理屈が分かっていて、かつ、卓上でなくて本物の「旋盤とフライス盤」の2つの工作機械がないと内部のストレス解消は不可能です。ですから、これは自分でやるのはパスして、お金を払って専門ショップでやってもらうしかないですね。

 何度も書いていますが、ラーメン屋さんでもおいしい店と普通の味のラーメン屋さんがあるように、トライアル専門ショップでも技術の「うまいヘタ」知識の「あるナシ」がありますから、そこをよく見てお金を払ってやってもらってくださいね。

(2)の、左右のフロントフォークの取り付けを、スタビライザを含めて正しくストレスのないように組み付けるのは、誰にでも出来て、多くの場合、この取り付けに無理がきているから動きが渋い事が多いのです。

 その正しい組み付け手順を説明します。

1 まずは、前フェンダーを取り付けているスタビライザの4本のボルトをゆるめて、ガタガタの状態にします。
2 バイクにまたがって、ハンドルと前タイヤが直角になっているか見てみてみます。
3 少し曲がっていたら、前ブレーキをかけて、柱か何かにハンドルを切ってぶつけ、正しくなおします。
4 前スピンドルシャフトを締め付けている、右側のフロントフォークの下の2本のボルトをゆるめます。
5 この状態で「前ブレーキをかけず」に、フロントフォークを激しく上下させます。
6 そして、強くハンドルを引いて、ようするにフロントフォークを「一番伸ばした状態」にします。
7 この状態のまま、前スピンドルシャフトを締め付けている、右側のフロントフォークの下の2本のボルトを締め付けます。
8 次に、前フェンダーを取り付けているスタビライザの4本のボルトを締め付けるのですが、ここからが一番大切な作業です。
9 理論的には、スタビライザとフロントフォークの取り付け部分には隙間があってはいけません。でも、多くの場合は、1ミリ以上の隙間があいています。
10 だから、隙間のあいているままスタビライザを強引に締め付けると、本来、左右のフロントフォークは平行でならないのに、誇張して言うとX脚のように曲がって締めつけてしまうのです。だから、フロントフォーク単体だと動きが良いのに、組み付けると動きが渋くなってしまうのです。
11 この対策として、スタビライザを取り外してその隙間がないように広げるとかして修正してやればいいわけですが、経験上、4カ所をピッタシに合わせるのはなかなかそうはうまくいきません。
12 この対策として簡単なのは、その隙間ピッタシのワッシャを捜してきてそこに差し込み、そして、ボルトナットで締め付けてやればいいわけです。ようするに、ストレスなしでフロントフォークにスタビライザを取り付けてやりたいわけ。
13 でもこれまた見てみれば分かりますが、スタビライザを止めている4つのボルトの隙間って、皆同じ広さの隙間があいているわけではなくて、それぞれ広さが違いますよね。
14 だからこの場合は、それぞれにピッタシの広さのワッシャを捜して、そこに差し込んで締め付けます。
15 でも、そうはうまく厚さが微妙に違うワッシャなんてないですよね。黒山選手の場合は、あらかじめ0.5ミリ単位で厚さの違うアルミのワッシャを何種類も旋盤で作って持っていて、それを使い分けていますが、民間人はそれは無理。
16 だから、あるワッシャの厚さの一番妥協出来るワッシャを使うしかないですね。
17 反対に、スタビライザの締め付け部分が少し広い場合は、両手でグッと真ん中に押せば、少し位なら簡単に曲がります。

 さて、スタビライザの隙間のワッシャも見つかり、その部分、前後4本のボルトナットを締め付けるわけですが、これまた締め付け手順があります。

1 まずはスタビライザ前の部分の2本のボルトナットを軽く締めましょう。
2 次に、前フェンダーの後ろの部分を押さえて、前フェンダーの前の部分を引っ張り上げ、前フェンダーをウイリーさせます。
3 多くの場合、前フェンダーの後ろ部分がタイヤに当たるか、こする寸前になります。
4 この状態にして、スタビライザの後ろ2本のボルトナットを締めて、次に仮締めしていた前2本のボルトナットも締め付けます。

 何故、このように前タイヤと平行に前フェンダーを取り付けずに、前フェンダーの後ろはタイヤにこすれるように、前フェンダーの前はタイヤから離して取り付けるのでしょうか。それは、泥巻き込み対策なのです。根性のない泥ならまだしも、根性のある泥はタイヤとフェンダーの隙間に入ると、詰まってしまい最悪前タイヤが回らな
くなります。だから、モトクロッサーはこれを防止するために、最初から前フェンダーはフロントフォークに取り付けずに、ステアリングの下に取り付け、前タイヤとフェンダーの隙間をこれ以上広げようがないくらいに広げているのです。

 トライアルバイクの場合は

1 前フェンダーの後ろはタイヤにこするか、隙間を少なくしておますと、これで隙間に入ってこようとする泥をストップさせかき落とすか、入ってきても少なく出来ます。
2 前フェンダーの前はタイヤに離して取り付けておきますと、隙間に入った泥を早く簡単に出やすく出来ます。
3 ようするに、泥を入りにくくして、入った泥は出やすくするという、前フェンダーの取り付け方法ですね。 

● フロントフォークを伸ばして、前タイヤを取り付けるということ

 前タイヤを取り付けているスピンドルシャフトは、フロントフォークを一番伸ばした状態で取りつけ締め付けます。この理由は以下の通りです。

1 本来、設計上は左右のフロントフォークは平行に取り付けられるように設計されています。
2 その平行は、左右のフロントフォークを差し込む、ハンドルの付いている上下のステアリングステム、日本的に言うと上下の三つ又の穴に差し込んで平行になるように設計されています。
3 でも、設計図ではそなうなっていても、実際の製作現場では、金型というか、溶けたアルミを流し込んで作ったものに、あとから工作機械で穴を4カ所開けて作ります。これが1000個単位で作っていくと、どうしても穴あけには微妙に誤差が出るのです。
4 穴の近く、つまり、ステアリングステムの左右の平行はないに等しくても、前タイヤを取り付けている先っぽの部分では平行の誤差は大きいのです。
5 これは鉄砲を撃つときに、手元で少しの誤差でも、100メートル先ではすごい誤差になるのと同じです。
6 ですから市販車の場合、まずフロントフォークは正しく平行に付いていなくて、正面から見て「ハの字」か「逆ハの字」に取り付いていると考えて間違いありません。
7 これを確認するために、スピンドルシャフトのボルトをゆるめた状態で誰かにフロントフォークを上下させてもらいます。そして、ゆるめたボルト部分の、スピンドルシャフトと差し込んでいるフロントフォーク部分を見てみましょう。そうです、上下させるたびに、フロントフォーク(アウターチューブ)穴が差し込んだスピンドルシャフトに対して左右に少し微妙に動いているはずです。
8 これを防止するために、採算という言葉のないワークスはこの三つ又部分はアルミのブロックから削り出しのワンメイクで作るのです。
9 アルミの削りだしという言葉に縁のない民間人は、フロントフォークの伸びたときの初期作動を含めてストロークの半分から上を優先させるか、縮んだときの底付き付近の動きを含めストロークの半分から下を優先させるかの、どっちにするかになります。
10 初期作動を優先させるなら、フロントフォークを伸ばしたままスピンドルシャフトを締め付けます。
11 縮んだ底付き付近を優先させるなら、フロントフォークを沈めた状態でスピンドルシャフトを締め付けます。

 トライアルって、前タイヤを浮かす動作が多いですよね。連続フローティングターンなんて、前タイヤが浮いた状態でチョンチョンって岩に当てていくテクニックで、ようするに、フロントフォークの動きは初期作動重視タイプのモータースポーツです。ということは、10の「初期作動を優先させるならフロントフォークを伸ばしたままスピンドルシャフトを締め付けます」になります。

 反対に、ツーリングバイクとか重いバイクの場合は、専門誌には「フロントフォークを沈めた状態でスピンドルシャフトを締め付けます」と書いてありますが、これもまた正しいのです。極端に言うと750ccのオンロードバイクには初期作動という言葉はありません。自重が重い上にライダーがまたがると、前も後ろもサスペンションはそれだけで沈んでいます。つまり、その時点で初期作動域を過ぎているのです。で、ツーリング中を考えれば分かりますが、フロントフォークの動きはほとんどの場合、使っているストローク部分は半分から下です。ようするに、いつでも半分は沈んでいるということで、半分から底付き付近でフロントフォークは動いているということ。だから、11の「縮んだ底付き付近を優先させるならフロントフォークを沈めた状態でスピンドルシャフトを締め付けます」になります。

 モトクロスやロードは、このフロントフォークの締め付けはどっちなんでしょうね。こっちは門外漢だからさっぱり知りません。

●フロントフォークのオイルをやわらかくしたらどうなりますか?

 前サスペンションも後ろショックアブソーバーも、基本的に上下の動きを制御するのは「オイルを無理矢理小さな穴を通過させる」ことでそうしています。それはまあ、最初は軽く動き、最後の底付き付近はグッとこらえるようには、その穴を通過するまでの過程でワッシャをミラミッドのように重ねた板バネで色々と仕事をさせています。でも、まあ単純に片栗粉のような粘っこいオイルを入れると動きは渋く、水のようなオイルを入れると動きは軽快になります。そう、考えてもらってよろしい。

 ですから、冬は水のようなオイル、夏は片栗粉のようなオイルを入れるという具合に、オイルの粘度を変更する方がいいわけですね。'03年のRev-3はイタリア/パイオリ社の粘度10番相当のフロントフォークオイルが左右共に入っています。ですから、あなたのライディングスタイルによって、動きが気に入らなければ交換しましょうね。

 日本では粘度2.5番から30番までのフロントフォークオイルを手に入れることが出来ます。黒山選手の契約しているBPオイルは、残念ながらフロントフォークオイルはありません。ですから、黒山選手はモチュールのオイルを買って入れています。通常は右側のダンパー側は5番油面60ミリで、左側のスプリング側は10番油面130ミリです。これから、春夏秋冬と季節によって粘度と油面を変更していっています。

 前サスペンションも後ろショックアブソーバーも、必ずダンパー調整ネジ(アジャスター)があります。で、このアジャスターは締め込むと動きが渋くなり、ゆるめると動きがスコスコになります。通常は全ユルにして下さい。そして、おそらくや一生慣らし運転の民間人のあなたは、これをいじってもわけが分からなくなるだけですから、全ユルで乗るようにして下さい。

 最後にオイルに関しての心からのアドバイスです。

 4輪でも2輪でも、そしてどの部分のオイルでも「高いオイルを長く使うよりも、安いオイルを早めに何回も交換すること」です。これは「シルクのパンツを長いことはいておくよりも、100円均一のパンツを使い捨てで何回もはき替えた方が気持ちがいい」のと同じ事ですね。

 そして、高いオイルはなかなか交換する気にならないのも心情的には理解出来ます。でも、エンジンを高回転でブン回し、前後サスペンションを目にもとまらぬ早さで上下させるモータースポーツではないのがトライアル。安物のオイルを早いめ早いめに交換することを決めに命じましょうね。

ストレスなき人生、サタンに取り付かれることなし パウロ2節3