始めまして松と申します。
”02Rev3に乗る草大会を中心としたコンペライダーです。
実は今年8月に、燃料タンクキャップ左側にクラックが出てしまいました。
他のコンペライダーの同場所を見ますと、やはりクラックが出ているマシンがあり、個体差ではないと思料します。
そこで質問ですが、溶接による肉盛りですが、理想はTIGかと思いますが、私のところではMIG溶接しかありませんが対応できるでしょうか?
もちろんMIGでも加熱してからの作業としますがいかがでしょうか?
第2の質問ですが、この場所にクラックが出るということは、片持ちリアークッションのせいでしょうか?
クッション取り付け下部のスイングアームにもクラックの前兆がまられます。
第3の質問ですが、”05Rev3はこの件に関し対策されているのでしょうか?
以上ですが、新車納車の時期でご多忙の折とは思いますが、宜しく御回答をお願い致します。
<A>
Rev-3は片持ち1本後ろショックアブソーバーという画期的なアイデアで登場しました。でも、その片持ちサスはいいところもあれば、悪いところもありまして、悪いところはズバリ、メインフレームに「偏った金属疲労がくる」ということでした。
Rev-3は激しく乗る乗らないにかかわらず、ガソリンを入れるタンクキャップの右側にクラックが入ってきます。そしてガソリンが漏れ始めます。次に左側にも入ってきます。これはズバリ、後ろサスペンションが左片側にだけ付いている事によるのが原因です。
話がそれますが、前サスペンションは「サスペンション」と言い、後ろサスペンションは「ショックアブソーバー」とBetaMotorでは言いますが、日本では「ショックアブソーバー」と言い方は馴染みがありませんから、ここでは後ろサスペンションとか後ろサスという表現をします。
また、日本ではバイクのことをマシンと言いますが、ヨーロッパではマシンと言わずに「バイク」か「モーターバイク」という言い方をします。日本ではワークスマシンと言いますが、ヨーロッパではスペシャルバイクと言います。またまた、日本ではトライアルと言いますが、ヨーロッパではTRIALという綴りの通り、トリアルと言います。またまたまた、日本ではステアケースと言いますが、ヨーロッパではステップと言いまして、2段ステアケースはWステップという言い方をします。3段ステアケースはトリプルステップという言い方ですね。
さて、この部分にクラックが入ってガソリンが漏れてくるのはBetaMotor社長のLapo Bianchi(ラポピアンキ)になり変わって「おあきらめ下さい」の言葉しかありません。補強対策はしているのですが、とにかくクラックは入ってきます。
対策として
1. その場しのぎのガソリン漏れ対策は、シリコンか強力接着剤で上から固めてしまう方法
2. アルゴンアルミ溶接で上から溶接する
の2つです。
1.の接着剤はその名の通りその場しのぎで、また必ず固まった接着剤にもクラックが入ってガソリンが漏れてきます。
2.のアルゴン溶接ですが、これはとても恐いし特殊な方法と技術が必要です。だって考えてください。使用中のガソリンタンクを溶接するんですよ。いくらガソリンを抜いて中性洗剤で中を水洗いしても、タンクキャップから臭いをかいでください。そう、ガソリンの臭いは残ります。
ガソリンタンクにガソリンを満タンに入れてタンクキャップに火を近づけてみましょう。やったことはないけど、多分「ボッ」と火が付くだけです。でも、中途半端にガソリンを抜いたガソリンタンクは「爆発物」なのです。
ほらよく、ジャンク屋さんがドラム缶やポンコツバイクをガス切断機でバラしている時に、爆発事故で死んだという新聞記事を見たことがあるでしょう。あれになる可能性があるのです。
世の中には色々な危険な仕事を専門にする人達がいます。ガソリンスタンドの地下には、けっこう巨大なガソリンタンクがあります。これは完全防水というか、完全密閉なはずなんだけど、でもやっぱり老朽化してくるとタンクのどこかにクラックが入ってガソリンが地中にしみ出て漏れてくるそう。
これは、中東から原油を運んでくるタンカーもそうで、キングコングを入れていた巨大なタンク室からどこか必ず原油が海中に漏れてくるそう。
揮発物のガソリンの中で長期間浸かって性能を維持出来る接着剤はまだ地球上に存在せずに、完全な修理方法はただひとつ、内側から溶接するしかないそう。
で、この巨大なガソリンタンクの中に入ってそのクラックを内側から溶接する職業はあるそうで、まさに命をかけたプロフェッショナルの中のプロフェッショナルですね。
実は黒山お父さん、その溶接技術をかわれて自動車の板金塗装屋さんからこの危険な職業に転向した人を知っていまして、その人にその技術と溶接プロセツを習いました。ガソリンスタンドのガソリンタンクの中に入って溶接することに比べると、バイクのガソリンタンクの溶接なんか「赤子の手をひねる」レベルでしたね。
この方法は、公開すると多分誰かがやって「オートバイのガソリンタンク溶接中に大爆発で死亡」記事が新聞に載りそうで、秘密にしておきます。実は兵庫県のどこかの市の人でこれをやって爆発し、死ななかったものの「顔がフランケンシュタイン」になった人を現実に知っています。
ということで、そこの所のクラックの溶接修理の方法は「危険を承知でやってくれるところを捜す」か「私の所へ持ってくる」のアドバイスしかありません。
スイングアームですが、あなたのは'02年ということですが、現在の'04年'05年とはまったく違う作りで、ほとんど今現在はどこにもクラックは入りません。以前は、スイングアームのクラック入りで当社にたくさんの溶接依頼がありまして、その儲けで回転寿司に行けたのですが、最近はさっぱりなくなり回転寿司は長らくご無沙汰しています。
どの商品もそうですが、丈夫で長持ちの商品は「修理する職業」の側としては困りもんです。
「ガラスは何故割れるのか」を知らないでしょう。ガラスって古代メソポタミア文明やエジプト遺跡からたくさん出土するように、歴史の大変に古い製造物です。2000年以上の歴史があるのに、今の技術の進んだ時代でも「やっぱりガラスは割れる」のです。不思議でしょう。
この理由は簡単で「割れないガラスを作るのはコストもそうはかからずに簡単なんだけど、それを作るとガラス会社やガラス屋さんが儲からなくなる」という単純な理由です。
地球上に存在する機械や商品は「壊れないと困る」人達がいることを知っていて下さいね。