<クランク軸オイルシールの価格>

'02 REV-3に乗っています。
数ヶ月前からエンジンの振動と音が大きくなってきたため、折を見て黒山レーシングさんにエンジンチューニング(本来の目的はベアリング交換)をお願いしようと思っております。
そこでエンジンチューニングメニューのページを拝見しますと、「クランク軸オイルシール(4,100円/耐熱250度ふっ素ゴム製) が必要交換部品として記載されています。

純正品と比べると価格的にも高く、もちろん純正以上の性能の部品だと思うのですが、私のような一生慣らし運転の一民間人にも必要なオイルシールなのでしょうか?
純正品との違いは何でしょう? 純正品ではダメなのでしょうか?
当方、2,3年間練習して上手くなったとしても、精々NAレベルだと思います・・・。
宜しくお願いします。

<A>

 きましたねぇ、黒山レーシングの価格破壊工作異議申し立て徹底抗戦。何にでも疑問を持ってのご質問はいいことですから、真実をお知らせします。何でもそうですが、まずは他社同等品との価格比べをすれば一目瞭然ですね。

 アンタって、2サイクルのHONDA/RTL250Rのここの部分、クランク軸のこのオイルシールっていくらか知っていますか?答えは、

HONDA/RTL250R → 税込みで「4,704円」します。
私のところのBeta用はサイズは少し違いますが → 税込み「4,100円」です。
BetaMotorの純正価格は → 税込み「1,649円」です。

*質問の 1→ 純正品との違いは何でしょう? 

 革製品は圧倒的に日本製よりもイタリア製が世界のブランドです。それは革を工作する技術うんぬんよりもイタリアの気候風土に影響します。これはスパゲッティもワインもそう。うどんの本場「讃岐うどん」の職人が、その同じ技術材料で北海道でウドンを作っても同じものが出来ないのと同じです。

 経験上、どの分野の製品であれ「ゴム製品は日本製が世界一」です。これは、バイクに使うゴム製品に限っても、HRCの技術者も皆さん同じことを言います。タイヤは除外して、バイクに使うゴム製品は総じて、オイルシールやこのオイルシールを守るダストシールのことを言いますね。

 日本製のゴム製品が世界一なのは、日本の気候風土ではありません。すべては「素材品質の管理と製作技術」のたまものです。ですから、BetaMotorのイタリア製純正品との差は「ゴム素材と製作技術」の差です。

 でもでも、私が知らないだけで、案外に小さなゴム製品を作るのに日本の気候風土があっているのかもしれません。これは分からずです。

 大きな声では言えませんが「近藤さん」、どこの国でもいいからヨーロッパ製を使ったことないでしょう。こっちの人ってこんなの使って満足してんのかいなの最低レベルの作品。アメリカ製は使ったことないけど、多分同じだと思う。そんな近藤さんしか作れない国のオイルシールの性能は推して知るべしです。

 テクノでもRev-3でも、排気系のチャンバーを支えている防震ゴムってすぐにちぎれてしまいますよね。これは皆さん誰でも経験あるはずで、困っていることのトップ3に入ります。この防震ゴムはイタリア製です。

 で、これをどこにでもある金物屋さんや日曜大工の店に行きまして、相当品を買ってきて何とか付くように加工して取り付けてみましょう。日本製のゴムの性能の良さにほれ込むはずです。まず、絶対にちぎれませんし、防震性能もイタリア製以上のものがあります。

 のように、ゴム製品はすべて何でも日本製が世界一です。で、始めの質問の答えは「純正品との違いは何でしょう?」は「日本製の方が優秀です」になります。

*質問の 2 → 純正品ではダメなのでしょうか?

 ダメなことはありません。BetaMotor純正品で十分です。ランプキンもカベスタニーもブーもこの純正品オイルシールを使っています。

 でもね、せっかくゴム製品先進国の日本に住んでいて日本の「もっといい」製品が手にはいるのなら、エンジンの肝心要の部分のパーツだけでも、少し高くても最高の部品を使いましょうね。日本製のHONDAの同じ部分のパーツは最初から最高の日本製が「純正品」として付いていますので、日本で乗るイタリア製のバイクのゴム製品だけでも「世界最高級品」に交換しましょう。これが答えです。

*この部分のオイルシールは何故高価なのか?

 バイクに使われているオイルシールは、単純に言うと「オイルの漏れを防止する」目的のみです。で、オイルの漏れを防止するのですが、その漏れが多少なら「何とか乗れる」のがほとんどの部分です。

 フロントフォークのオイルシール部分からオイルが漏れ始めました。世界選手権、この状態でだましだまし走りきったことが黒山選手は4回ほどあります。アンダーガードを打ち付けて、クラッチベースカバーパッキンの部分からオイルがにじみ始めました。でも、何とかその日の練習は可能です。

 でもね、クルクル回るクランク室の中は「高温/高圧/高気流」の3悪にさらされる部分のうえ、この部分のオイルシールがいかれますと、この内部は呼吸をしていますから、外部のものを吸い込みます。

 例えば他のどの部分のオイルシールも、いかれますと内部のオイルが外に漏れるだけです。でも、クランク室は「圧力/解放/圧力/解放」を繰り返していますから、ここがいかれますと外部のものを吸い込み

a. フライホイル側のオイルシールがいかれると、空気を吸い込みキャブレターセッティングが薄くなったようにカラカラ言い始めます。
b. ミッション室側のオイルシールがいかれると、ミッション室のオイルを吸い込み「サイレンサーからものすごい煙がもくもく出始めます。

 のようになり、当然、もう練習も大会も続けられません。だから、この部分のオイルシールは「高温/高圧/耐ガソリン」にすぐれた「フッ素ゴム」を使用したオイルシールを使っているから高価なのです。

 あなたが、私のところでエンジン全バラ組立をお願いする時に、クランクの左右オイルシールを安価なBeta純正品を所望するのならそうお申しつけ下さい。新品純正オイルシールも手持ちがありますので、それを使うことは嫌な顔を見せずにニコニコ余裕で可能です。

*どうでもいい蛇足のお話し

 そうそう、オイルシールって組み付ける時に内側のリップ部分にグリスを塗る込みますよね。回転軸のオイルシールは「シリコーングリース」で、フロントフォークのような往復軸のオイルシールは「テフロングリース」です。

 このクランク軸のオイルシールは回転軸ですから、シリコーングリースでいいんですが、始めに書いたように「高温/高圧/高気流/ガソリン」の過酷な状況ですから、当然同じシリコーングリースでも、NASAのスペーズシャトルにも使っているものすごく高価な超耐熱USA製スーパーシリコーングリースがあって、それをお父さんはこの部分にだけ使っています。自慢ではなくて、こだわりをみせているのだ。

 何でそんなスーパーシリコーングリースを持っているのかは簡単で、アメリカのBetaのインポーター(Beta輸入元)はロンコモ社といいます。当然、世界選手権アメリカ大会の時はこのロンコモ社にお世話になるんだけど、この時に大事に使っていたこのグリースを見つけて「どこで売っているの」と聞いたけど「なかなか手に入らない」で「それなら予備を持っているやろ」となり、しぶしぶもうひとつ持っていたのを出してきたからちゃっかり頂いた次第。

 おみやげに持っていた「お箸」とぶつぶつ交換したから、ものすごくこっちがもうけたような気がしますね。

 蛇足ながら、このロンコモ社社長のロンさんという人は70歳位なんだけど、整備修理の達人で「トライアルバイクの前後タイヤ同時交換」の全米チャンピオンで、左右で30秒を切る記録保持者です。大統領の演説を聴いても分かるけど、アメリカって何でもジョークがないとうけないお国柄で、このロンさんがやるタイヤ交換、本当に踊りながら交換しまして、途中でタイヤレバーをクルクル回したり、チャンチャンってドラムを叩くようにリムをうち鳴らしたり、そういうアピール度がないと、単純に交換作業時間が早いだけではチャンピオンになれないんだって。

 日本のように「まじめ真剣ひと筋」ではないのがアメリカで、ロンさんと話しをしていても、変なところで日本人には理解できないジョークを連発して、向こうは当然日本人が笑うと思ってるのにこっちが笑わないから、やっぱり日本人は「へん」と思っているでしょうね。これは、単純にこっちの「英語力」がないだけの事です。

 少し宣伝をさせてね。前述したチャンバー後ろに付いている防震ゴムを売りに出しました。絶対にちぎれません。

<価格>
・ボルトナット付き本体1個 → 900円
・送料 → 全国一律120円
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総計 1,020円 *郵便振替の用紙をおつけしますから、それで支払うべし

 になりますので、電話/Fax/メール等々で注文頂きますと、郵便振替の用紙をつけてお送りいたしますから、受け取りましたらキリキリ金子(きんす)を払って下さいね。

電話/Fax → 0727-99-0830
E-mail → kuroyama@bd5.so-net.ne.jp