<Q> タンクキャップからのガソリン漏れ防止
 
いつも質問させてもらってすみません。
今回は、タンクキャップについて質問させていただきます。
数ヶ月前からタンクキャップの先端パイプから頻繁にガソリンが吹き出すようになりました。ステアやリヤホップ等するとすぐにフレームがガソリンまみれになります。
キャップの中のフロートを細い棒で押すと上下しているのは確認できるのですが、それが正常な動きなのかは分かりません。キャップ交換しか方法は無いでしょうか?

<A>

 Beta/Rev-3には、ガソリン自動ストップ装置が2カ所にあります。一つ目はキャブレターで、もうひとつは本題のガソリンタンクキャップです。

 トイレの水を流すと、水タンクに不足した水が流れ込み、満タンになると自動的に水道水はストップします。これは、タンクの中にある「浮き子」というのが水が入ってくると上に上がっていき、最後には水道バルブの穴を浮き子につながった「ふた」でふさいでしまうという原理。これと同じ原理なのが、キャブレターとガソリンタンクキャップです。

 キャブレターの場合は、浮き上がる浮き子は左右にあるフロートですが、ガソリンをスットプさせるのはフロート自身ではありません。フロートに連動している円錐形の「丸いやり」みたいなのが、ガソリンが出てくる穴に差し込まれるようになっており、ガソリンをストップさせます。

 本題のガソリンタンクキャップは、単純にいうと「丸いプラスチックの玉」が空気穴の中にあって、通常は下に位置しガソリンタンク内部と外部をつないでいます。
で、バイクを横倒しにすると、タンクから逆流して上がってきたガソリンが空気穴の途中にあるその丸いプラスチックの玉を押し、上側に押しつけガソリン漏れをふさいでしまいます。

 ガソリンが下から上がってこなくなると、上に上がった丸いプラスチックの玉は表面張力で上の穴に張り付いたままで自動的には下に落ちません。だから、下から上がってくるガソリンの力よりも弱いスプリングで上から丸いプラスチックの玉を下に押しています。

 ガソリンが丸いプラスチックの玉を押さなくなると、今度は弱いスプリングが下に玉を押し下げて空気穴を解放するという仕組みです。

 「キャップの中のフロートを細い棒で押すと上下しているのは確認できる」のは、この小さなスプリングが玉を上から下に押しているからなのです。

 何で詳しいのかというと、このタンクキャップってけっこう重いですよね。で、軽量化のために中身のバルブ装置をすべて壊して取り外したことがあるからです。でも、あなたのように少しのバイクの傾きでガソリンがダダ漏れになるのでやめました、です。

 このガソリンタンクキャップの空気穴をバカにしてはいけません。メーカーはこの空気穴をなるべく小さくし、そしてバイクがどうなろうとガソリンが逆流して漏れないように設計します。アダム.ラガと田中太一が世界選手権にデビューした年だから、もう何年も前の世界選手権フランス大会、こん時は黒山選手のサポートに国際A級の山田哲也選手がついていました。

 で、HRCの技術者が開発した絶対にガソリンが漏れないスーパー自動ストップ装置付きタンクキャップを、藤波選手はこの大会につけて走りました。

 皆さん、タンクキャップの空気穴なしでバイクはどのくらい走ると思います。ガソリンが下に落ちた分、上から空気が入ってこなければ、ある程度ガソリンが落ちたらもうガソリンは大気圧に押されて出てきません。

 藤波選手、1ラップ目の第14セクション、出口の手前までクリーンで来ていたのに何でもないところでエンジンがストップして痛恨の5点。セクションアウトして、すぐにメカニックやHRCの技術者がバイクを取り囲み調べますと、何と、この新型スーパータンクキャップについている空気穴ガソリン自動装置がうまく働かず、結果的に空気穴が詰まってしまいガソリンが落ちなくなっていたのです。

 タンクキャップの空気穴が詰まれば、1セクションもたないということですね。そんなのを世界選手権の現場でいきなり使うなよですが、まあ単純にタンクキャップをなめていたということですね。

 今はそんなことはないけど、これを知った藤波選手、クリーンセクションだったのもあって烈火のごとくHRCの技術者を怒鳴り上げていたのを覚えています。

 さて、あなたのバイクのタンクキャップの空気穴は藤波選手のフランス大会とは逆に、逆流防止の機能が働かなくなったんですよね。キャブレターは全バラ点検が出来ますが、タンクキャップは出来ません。

1. 細い棒で下の穴からつつく
2. 高圧エアーで、上と下から吹き込んでみる

 をやってみて、正常の性能に戻らなければ「そのまま乗る」「新品に交換する」の2つ以外に道はありません。ちなみに新品の価格は以下の通りです。

<部品番号 29.1051.2.80 → 3,518円>

 社外品でタンクキャップから出ているホースに取り付ける逆流防止装置がありますが、それはミタニモータースポーツの専門分野ですから、ミタニ/鈴鹿店か神戸店にお問い合わせ下さいね。愛想のいいのはお兄ちゃんの鈴鹿店で、誠実に冷静な対応は弟さんの神戸店です。なお、どちらも奥さんが電話にお出になりますと、どちらも「電話対応学校の先生」が出来るんじゃないかの応対をしてくれまして「電話してよかった」と思うことを請け負います。

 これは関東のカントリーハウスの店番をしている奥様もそうで、零細企業は「奥さんでもつ」は古今東西を問わず不滅の鉄則です。