【Q】リアサスのセッテイングについて
 
いつもためになるお話ありがとうございます。リアサスのセッティングについてですが、過去Q&Aによると サスのセッティングは全ユル、ということですが、これはショックアブソーバの調整のことと解釈してます。それではスプリング長さのセッティングはどのようにするのでしょうか?友人たちのバイクを見てもほとんどが全然締め込んでない状態です、スプリングも全ユル、ということなのでしょうか?
ちなみにバイクは02’REV-3です。よろしくお願いします。

<A>

1. '02年Rev-3のRショックアブソーバーにはアジャスターが2カ所ありますが、サブタンク側の手でカチカチと回せる大きな黒いノッチは「沈み込み」の時だけに有効です。締めこむと「沈み込みのみ」動きが渋くなります。つまり、ガーン!っとステアケースなんかに行ったり飛び降りたりしたときに、いきなり底付き感があるときに適宜締めて下さい。

 全部で19ノッチ閉まりますが、Beta Motor指定の標準はスタンダードの位置は全ユルから7ノッチの付近です。ですが、体の小さい日本人には、この7ノッチでは沈みのダンパーが効き過ぎて少し渋い動きになりますので、全ユルから時計回しに2ノッチの位置にして下さいね。

 実際には3ノッチまでの締め込みは遊びでして、4ノッチ回した付近からダンパー性能がきき始めます。通常は、全ユルと同じ2ノッチ回しの位置で十分です。

2. ドライバーでしか回せない小さな銅色の十字のやつは「沈みも伸びにも同時」に動きが渋くなります。構造上、カチカチと音はしませんが4回転は締めこめます。全ユルから1回転付近までは遊びでして、効果は何もありません。1回転締めこんでから、そこからが有効になります。逆に言うと「全締めから3回転戻しまでが有効」で、そこから全ユルストップまでは遊びです。ですからで標準は全ユルから1回転締めこんだ位置です。

 伸びだけとか、沈みだけとかの片方のみにきくというものではありません。上下の動きが同じように同時に渋くなることを覚えておいてください。そして、日本の風土気候体格でいち民間人には、全ユルで十分な性能を発揮します。

 注意として、全ユル状態でドライバーでもう左に回せなくなって、さらにそこからまだ「左に強く回さない」こと。内部にある調整シャフトが細いうえにアルミ製で曲がりやすいし、曲がるともう内部のシャフトが上下しなくなり調整不能になります。

3. '02年のRev-3ということですが、'02年までは「サブタンクあり」のリアサスでして、これの基本的なスプリング長は「112ミリ」です。スプリング単体を取り外しての自由長は「114ミリ」です。

 少し腰がないとか、もう少し踏ん張ってほしいとかで、スプリングを縮めても「110ミリ」までにして下さい。あとはいくら締めても「バネっぱい」感じになって、一番大切な「初期作動」がなくなってしまいます。

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<リアサスの内部に入れてある高圧チッソのお話し>

1) Rev-3の一本サスの特徴は、内部に封入してある「高圧チッソガス」にあります。いち民間人には手が出ませんが、腰がないとか、もう少し踏ん張ってほしいとかの場合は、外のスプリングを縮めるよりもこの内部にあるチッソ圧を上げる方がいい効果がでます。

 例えば、スプリングを締め込んで強くしていくと、たしかに「ガーン!」ってステアケースに飛びついた時にリアサスはこらえます。でも、あとの反発がすごくて使いものになりませんし、いわゆるガチガチのリアサスになります。特に沢のセクションなんかは、跳ねて跳ねて使いものになりません。

2) 初期作動はフワフワといい感じで、「ガーン!」っていきなり沈み込んだ時にだけ腰が出て「グッ!」とこらえるようにする、理想の動きをさせるのは内部の「高圧チッソガス」の役目です。馴染みのない民間人には高圧チッソガスなんて言ってもピンとこないですよね。以下は、分かりやすく例えばのお話しです。

a. スプリングははずした自由長のままだと、たしかに初期作動はフワフワしていい感じです。でも、そのままの長さでガッと押さえ込むと、いきなり下まで縮んでしまって腰がありません。で、'00年から'02年Rev-3の場合は「112ミリ」に、'03年は109ミリ、'04年と'05年は110ミリにスプリングを縮めています。

b. でもこの縮んだスプリングだけだと、まだいきなり下まで縮んでしまった時にこらえる腰がありません。この先は外からは見えませんが、内部に閉じこめた「高圧チッソガス」の役目なのです。

c. 例えば針の付いていない大きな注射器を思い出しましょう。馬に浣腸するような注射器と思えばなおのことよろしい。

d. 針の付いていない注射器で先がふさがっていない状態にしておき、ポンプをゆっくりと押したり引いたりする分には、何も問題なくスムーズに動きますよね。この状態が「初期作動」の状態です。

e. で、いきなり強くポンプを押しますと、注射器の先が開いているにもかかわらず「いきなり下までスコン」とはいきませんよね。グッと瞬間こえらえて、そのあとに先っぽから空気がジワジワ抜けて元のフワフワの状態に戻ります。

f. ようするにポンプをゆっくり動かす初期作動の状態の時はスムーズで、いきなりポンプを押し込むステアケースに張り付いたような衝撃で押さえつけるとグッとこらえて、ポンプはある程度から下に行きません。でも、しばらくすると先っぽから空気が抜けて、またもとのフワフワした初期作動の状態に戻ります。

g. この動きをさせるためには、注射器の先っぽがふさがっていたらこうなりませんよね。スプリングを縮めたのと同じで、圧縮された空気の押し戻す反発力があります。

h. ここで誰でも考えるのが、注射器の先っぽの穴の大きさによって、こらえる度合いが違うのではないかですね。先っぽの穴が大きければ、ポンプをいきなり押した時に先っぽからすぐに空気が抜けてしまい、腰はなくなります。穴が小さければ、穴がない状態に近くなっていきなり反発が返ってきてスプリングみたいな動きになります。

i. この穴の大きさと数はサスペンションメーカーの企業秘密ですね。

3) ですから、外から誰でもいじくれるスプリングを今の長さからあと2ミリほど締めてみて、これでも腰がない、踏ん張りがきかないみたいだったら、内部の「高圧チッソガス圧」を上げてみることをお薦めします。

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* 蛇足

a. Rev-3に限っていうと、'00年から'05年までのリアサスは全部内部のセッティングが違いまして、当然、高圧チッソガス圧も違います。そのセッティングを変更して、その高圧チッソガス圧はどのくらいにするかは、パイオリ社の企業秘密ですね。

b. 高圧チッソガス圧は、10キロ以上余裕で封入してあります。ですから、多くの日本のトライアルショップがやっているように、市販のタイヤ用の空気バルブを後からリアサスに「溶接やネジを切って」取付けてチッソガスを封入しても、これは必ずこのタイヤ用の空気バルブから抜けてきます。タイヤ用の空気バルブはそんな高圧に耐えられるだけの性能は持っていないのです。

c. このエアバルブの能書きを読んでみると「耐圧15キロ付近で、実用耐圧は10キロまでです」と書いてあります。

d. HONDAには最初からこのタイヤ用の空気バルブが付いています。そして、モトクロスのリアサスにもついています。この理由は簡単で、そうはチッソ圧が高くなくて、それでバルブが十分に耐えられるからですね。HONDAのリアサスの正規のチッソ圧は9〜10キロ付近です。だから、メーカーが使っているのでしょう。

e. でも、Rev-3の場合はけっこうビックリするくらいの高圧チッソですから、Rev-3のリアサスに純正で始めから付いている「ゴムバルブ」から、特殊工具を使い高圧チッソを入れるのがベストです。

f. 絶対に高圧チッソが漏れないこのゴムバルブの構造を教えますね。第二次世界大戦の戦闘機、例えばゼロ戦なんかを考えてください。今の戦闘機は自動追跡ロケット砲なんかの撃ち合いですが、当時は単純に戦闘機に付いている機関銃を撃ち合う空中戦です。

g. 4年前に88歳で死んだ私の父は、中国で敵と鉄砲を撃ち合った本物の戦争経験のある人です。本職は「鉄専門屋」で、外気温によってレールの伸び縮み率が違うのでレールの継ぎ目の広さの計算をしたり、鉄橋の設計をしたり、敵の落ちた飛行機のすべての鋼材の材質を調べたりするのが任務。戦争中、日本に呼び返されて鉄の製造にかかせない触媒のコークスの研究に関わったんだけど、日本が勝っている時に帰ってきたから「戦争は面白かった」という想い出を持っていた父です。

h. で、ある時にその父に「戦闘機の空中戦で、ガソリンタンクを撃たれたらガソリンが漏れるのとちがうの」と聞きました。

i. その答えは、戦闘機のガソリンタンクの内部には分厚い1センチくらいのゴムが平ぺったくまんべんなく貼ってあって、弾が当たって貫通しても、伸びるゴムは小さな針の穴ほどしか穴が開かず、その貼ってある周囲のゴムが伸びてきてすぐに穴をふさいでしまう仕組みになっているそうです。まあ、今のあらかじめチューブの内部に入れておくパンク防止剤と同じ原理ですね。

j. この戦闘機の内側にまんべんなく貼ってあるゴムと同じ原理を利用しているのが、Rev-3のリアサスについている「ゴムバルブ」というわけです。だから、絶対にバルブからは高圧チッソは漏れません。漏れるんだったら、上に付いているオイルシールからですね。

k. のような理由から、リアサスをばらしいじくれるショップがあっても、最後に入れるチッソを「タイヤ用の空気バルブ」を後から取り付けてそこから入れるんだったら「2週間に1回ただでチッソ圧を点検してもらう約束をする」か「始めからやってもらわない」方がよろしい。

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l. またまた私の父親の戦争時代のお話し。中国大陸での空中戦はアメリカの戦闘機との戦いで、何度も地上から見たそうです。日本の戦闘機はトンボのように同じ所をクルクル回って、敵のグラマンは遠いところから横一直線に飛んできてクルクル回っている日本の戦闘機に機関銃を浴びせて、そのまま遠いところまで行ってしまい、またUターンして攻撃してくる図式だったそう。

m. 日本の戦闘機は小回りが利き、アメリカの戦闘機はスピードが出るからこんな戦い方になるそうで、日本の戦闘方法は「迎え撃ち」専門で、勝率はアメリカの早い戦闘機に弾が当たらずアメリカの方がよかったんだって。

n. 日本の戦闘機はやられて落ちる寸前まで戦うけど、アメリカ人は少しでも戦闘機が煙を吐くとすぐにパラシュートで飛び降りてくるとも言っていたし、当時はまだ日本が勝っている時だったから捕虜に寛容でひどい虐待も見たことがないと言っていました。

o. アメリカの戦闘機やトラックの機械のすべてを調べる任務なんだけど、

・敵の自動車のほとんどがフォード製で、「日本のトヨタとどうだった」と聞くと「材質と精度が全然違う」と話していたし
・電気溶接とガス溶接は電気の方が古いとか
・4サイクルと2サイクルは、4サイクルの方が古いとか
・プロペラ1個の戦闘機はすべて「奇数気筒のエンジン」とか
・プロペラの隙間から機関銃を撃つ配置の戦闘機は、プロペラに自分の弾が当たらないようにプロペラの回転数に合わせて、機関銃の弾の出る間隔を回転数に合わせてあるとか
・戦闘機は普通はサイレンサーが付いているけど、戦いの時はこれをはずしてパワーを上げるとか
・戦闘機はすべて排気管はひとつにまとめている(集合マフラーのこと)とか
・戦闘機の下にぶら下がっている流線型のロケットみたいなのは、爆弾でなくて予備のガソリンタンクで、ガソリンを使い切ったら空中で切り離して捨てるとか
・ゼロ戦みたいな戦闘機は首を回して後ろが見えるけど、飛燕みたいに後ろの見えない戦闘機は左右にバックミラーがついているとか
・ゼロ戦みたいな首を回して後ろが見える戦闘機はスピードが出ずに、飛燕みたいに後ろの見えない戦闘機はスピードが出るとか
・当時の戦闘機はすべて空冷とか
・中国は鶴が多いから、鶴を撃って食べたけど、肉が全然なくておいしくなかったとか
・ラバが輸送の主な動物とか
・ビールは中国製だけど、日本のビールと同じ味だったとか

 すべて、小さな頃に父親から聞いたお話しです。勝っていた戦争しか知らないから、色々話しをしてくれたんだと思うし、自身の戦争経験が悲惨だっら、子供にはあんまり戦争のお話しはしなかったでしょうね。