【Q】クラッチボルトのつのについて
この間の練習で大きく左側にこけまして、クラッチカバーを岩でしこたま打ち付けました。クラッチカバーが少しへこみましたがオイル漏れはありません。で、エンジンをかけてみますとカタカタという音がしますので、すぐにエンジンを止めてクラッチカバーをはずしました。ふたを取ってみますとスプリングを押さえている6本のボルトが付いており、そのうちの1本のボルトをねじ込んでいる「つの」みたいなのが斜めになって曲がっていました。
その部分のボルトをはずしスプリングもはずし、曲がったつのみたいな支柱に長いボルトをねじ込んで元に戻そうと力を入れてねじったところ、クラックが入っていたのか、いとも簡単にそのつのが真ん中へんから折れてしまいました。これはどうして修理したらいいのでしょうか。
<A>
これは、打ち所が悪かったらよくあることです。黒山選手は世界選手権でこのダメージを受けまして、現場で二郎君号のとすべてを交換して走りきった経験が3回あります。以下は回復方法のすべてですが、この内容に修理という言葉はなくてすべて新品交換です。つのの曲がったクラッチセンターは修理不可能です。
- チェンジペダルとキックペダルをはずします。
- クラッチベースカバーをはずします。この時にアンダーガードのボルトをゆるめて少し下へずらしてやらないと、クラッチベースカバーはスンナリはずれないかもしれません。たとえはずれても、今度組み付けるときに大変に苦労します。
- これでエンジンの左側が全部出てきます。
- クラッチセンターの6本の6ミリボルトをはずし、クラッチプレッシャープレートをはずします。
- あなたの言う「つの」のあるクラッチセンターを、特殊工具を使って真ん中の22ミリのナットをゆるめはずします。
- これでその奥にあるクラッチハウジングも引っ張り出せます。
- この状態で、すべての中身の部分をブレーキクリーナかガソリンできれいに掃除します。バイクを手前に傾けたりして、その奥のクランクケースの中もしつこく丁寧に掃除します。
- 次にばらしたのとまったく逆に組み付けですが、まずはクラッチハウジングをつけ、その真ん中にあなたの言う「つの」のあるクラッチセンターを組み付けます。
- つのの曲がったクラッチセンターは修正は出来ませんので、新品交換しかありません。
→7,970円・部品番号29-0962-1-00
- クラッチセンターを特殊工具を使って、22ナットを7キロトルクレンチで正しく締め付けます。
- この締め付けトルクは守ってください。でないと、クラッチが切れない引きずる等々の原因になります。
- クラッチプレッシャープレートをかぶせ、スプリングを6本差し込んで6ミリボルトで締め付けます。
- この6本のボルトはトルクレンチは使わずに、あなたの思っている締め付け力よりもはるかに軽く締めてください。スプリングを締めていること自体でゆるみ止め効果がありまして、ここは簡単にはゆるまない部分なのですから、ほんの「クッ」とだけ締めてくださいね。けして、首筋に血管が浮き出る締め方はだめですよ。
- クラッチベースカバーをつけ、チェンジペダルとキックペダルを取り付けて終了です。
再確認します。単純にクラッチセンターだけを交換するのであれば、一番外のクラッチアウターカバーだけをはずせば瞬間で可能です。でも、このつのの折れ損傷は必ずアルミの細かい粉砕粉がたくさんクランクケースの中に紛れ込んでいます。
この粉砕粉をきれいに全部取ってやらないと、たくさんの歯車の間に入りかじり付きカタカタと異音が出たり、オイルシールのリップ部分に入り込んでオイル漏れをおこしたりします。ですから面倒でも、クラッチベースカバーをはずして中をきれいに掃除してください。
もし仮に、この作業をやってもカタカタ音が止まらない場合は、クランクケース全バラ組み立て以外に修理の方法はありません。経験上、奥まったギア歯車のどこかにつののアルミかけらがかじりついています。これを全バラして探しだし、削り取る以外にないですね。
この修理は、ただひたすら「運が悪かった」とあきらめてくださいね。