<BetaEvo2Tの改善修理のコーナー>

うちの女子部レディスピンク団員は、現在6人です。このうち「美和とメーテルの2人は、'10年Evo2T.250」で「智恵子と和江は、'11年Evo2T.250」です。それに女子部男組の太郎さんはEvo2T.290に乗っています。つまりうちのチーム、Beta.Evo2Tは「'10年が2台」「'11年が3台」の合計5台が現役ですね。

このBeta.Evo2Tは、完成したバイクでしてそんなにいじくらなくても十分に全日本で戦えるレベルの性能です。ですが、ほとんど毎日のように女子部の誰かが練習していれば、やっぱりあちこちが痛んで修理や改善が必要となってきます。

今回からのこのコーナーは「Beta.Evoのどこがどうなったから、どうやって修理なり改善をしましたよ」という内容のご案内。あなたのBeta.Evo2Tが、同じような症状になったら、どうぞ「team黒山レーシング/レーサー整備室」にご相談下さい。

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●リアクッションの修理とチューニング

うちの5台のBeta.Evo2Tのうち、'10年と'11年タイプの2台が同じようなトラブルになりましたんで、これはけっこうな確率ですね。

Beta.Rev-3のリアクッションは「イタリア/パイオリ社」製です。Beta.Evo2Tは「スペイン/サックス社」製です。どう違うかといえば、ずばりサックス社のほうがパイオリ社よりも規模の小さい会社で、コストダウンをBetaMotorはもくろんだわけです。「コストダウン」はずばり、品質の差ですね。

和江のもメーテルのもリアクッションがスコスコ、つまりダンパーがまったくきいておらずにスプリングだけのようなピョンピョンの状態になりました。私達の言い方で「リアクッションが抜けた」です。

で、この二つをバラしてみますと、見事に二つともに同じように「内部で上下に動くプラスチックのピストンリング」が折れておりました。「折れた」という表現よりも、このピストンリングはプラスチック製だから「ちぎれた」という表現の方が分かりやすいと思います。

左が正しいプラスチックのピストンリングで、右側が3つにちぎれたプラスチックのピストンリングです。

過去にこのサックス製のプラスチックのピストンリングがちぎれた経験は、記憶の範囲ありません。ですが、このBeta.Evo2Tのピストンリングは、コストダウンでしょうかスコルパSY250/2stなんかについている同じサックス製のピストンリングよりも「厚さが薄い」のを使っていました。

同じサックス社のリアクッションのプラスチック製ピストンリングですが、左がスコルパSY250/2stに付いている厚さ1.35ミリのピストンリングっで、右がBeta.Evo2Tに付いている厚さ0.85ミリのピストンリングです。

アップ写真で見ると、左側と右側の同じ径のピストンリングですが、その厚さの違いがよく分かります。

もっとアップはこれ。

エンジンシリンダーの中のピストンについているピストンリングをはめ忘れて組んだとしたら、圧縮がなくなりますんで、キックをしてもスコスコになりますよね。このBeta.Evo2Tのリアクッションもこれと同じで、プラスチック製のピストンリングがちぎれたもんだから「オイルが筒抜け」になりスコスコになったという次第。

解決方法はただ一つで、同じサックス製厚さ1.35ミリの強化ピストンリングに交換してやるだけです。この純正対策部品のプラスチック製ピストンリングは「1,900円」ですね。

このちぎれたピストンリングを交換するには、リアクッションを全バラしないと不可能です。BetaRev-3の時のパイオリ製リアクッションは、内部にかけています高圧チッソを外部から注入します「ラバーブラダバルブ」が最初から外付けでついていました。ですが、このサックス製は付いていません。これも、完全なコストダウン作戦ですね。

このように、フライス加工をして「ラバーブラダバルブ」を取り付け、高圧チッソを入れる事が可能なように改善しました。

上下動きのセッティングは、'10年と'11年は別物です。どう違うかといえば「'11年の方が良い」という表現しかありません。それはもう,機械は何でもそうですね。沢の走りや、後ろをふった後の落ちつき、ステアケースで振られない等々、やっぱり'11年は進歩した動きセッティングです。

始めに紹介した通り、うちの女子部には'10年と'11年が2台ずつありますので、乗り比べればこの動きの差は一目瞭然体感で出来ます。うちの女子部の'10年のリアクッションは、、もちろん2台共に'11年セッティング仕様に改善しています。

もし、あなたのEvo2Tのリアクッションがスコスコぴょんぴょんになったら、以下の3種類の改善と修理が可能です。リアクッション単体を送って下さい。

1.'11年の方は、オーバーホールのみ→15,000円+対策ピストンリング→1,900円=16,900円
2.'10年以前の方で、オーバーホールのみをご希望の場合は同じく→16,900円
3.'10年以前の方で、上下動きセッティングを'11年と同じを希望の方→20,000円+対策ピストンリング→1,900円=21,900円

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●後ろブレーキの変形とバカ穴の修理 

この事は、別にBeta.Evo2Tだけでなくて、どのトライアルバイクでもこうなるのですが、ブレーキペダルの先の穴に踏む鉄ペダルをピンを差し込んで止めていますよね。このピンを差し込む穴が、写真のように長穴に変形してごく普通です。

これは機械的構造上、いた仕方ないのですが「限度を超えると」踏む部分の鉄ペダルがグラグラしてきて、レスポンスのいい後ろブレーキタッチがのぞめなくなります。

見事に長穴に変形していますが、もっと進むと全体的に大きなバカ穴になってしまいます。当然、踏む鉄ペダルはグラグラです。

これの修理方法は極めて簡単で、このように長穴部分すべてをアルゴン溶接で埋めてします。

Beta.Rev-3はこの部分が一カ所でしたが、Evo2Tは上下の二つに分かれていますので、当然両方ともに溶接で埋めてします。ここまでは、アルゴン溶接の出来る人なら誰でも出来ますが、真っ平らになった部分に「元の位置と同じ位置に穴をあける」のが、けっこう熟練の技を必要とします。

正しく、元の位置に穴があきました。これで完成です。後ろブレーキペダル本体は、折れなくて曲がるように、やわらかくはないのですが硬い中でのやわらかい材質を使っていますので、この長穴になるのです。でも、このアルゴン溶接に使う溶接棒は硬いアルミフレーム用の溶接棒なもんで、この穴の部分だけ「硬くなる」んで最高ですね。

女子部レディスピンク団全員分5台の、すべてのピン穴の復活が終りました5つの後ろブレーキCompです。

もし、あなたのが同じようになっていたら、以下の選択が可能です。後ろブレーキペダルは、上の写真の後ろブレーキCompのすべてを送って下さい。

1.穴埋めだけで、穴部分だけ復活→1,800円
2.変形の程度にもよりますが、後ろブレーキペダルの変形も修理→2,000円
3.ややこしい曲がりは、あっさり切断して治具にかけて溶接して形を正しく復活→2,800円
4.踏む鉄部分ペダルの変形修理→1,000円
5.ベアリング不良の場合のベアリング交換→740円

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●ケイヒン キャブレター改善

Beta.テクノからRev-3までのキャブレターは「ミクニ」です。でも、Beta.Evo2Tからキャブレターは「ケイヒン」に変わりました。BetaMotorはイタリアです。イタリアには、かの有名な「デロルト」があるのですが、BetaMotor契約の黒山選手の時代からデロルトは採用になりません。この理由は簡単で、BetaはRev-3であれEvoであれ、デロルトでは「上から下まで」完全につながるセッティングがどうしても出ないのです。

イタリア製のバイクに、イタリア製のキャブレターを使えば、これほどのコストダウンはありません。でも、そうならないのが機械の面白さですね。

さて、Evo2Tについているケイヒンのキャブレターのメインジェットやパイロットジェットやジェットニードルは、'10年も'11年もすべて同じ番数が付いています。ようするに、まったく同じなセッティングなわけ。キャブレターもまったく同じものです。ですが、'10年と'11年のケイヒンキャブレターは一カ所だけ違う部分があるのです。

キャブレターを右から見てみましょう。これは'11年のEvo2T.250ですが、フロート室の空気抜き穴が上側と横側の2カ所にあり、それをビニールホースで上と下に持っていっています。

もっとアップ写真がこれ。'10年のEvo2T.250のケイヒンは「上側に伸びているビニールパイプ」はなくて、穴部分はふさがっています。下側の横から出ている1カ所のみです。'10年のEvo2T.250をお持ちの皆様、一度、この部分をご確認下さい。

キャブレターの真下についているパイプ穴は「ガソリンオーバーフロー穴」で、フロート室に溜まりすぎたガソリンを抜いて外に出し「ボコ付き」をなくすのが目的の穴です。でも、この上側についている穴は単純に「空気抜き」の穴ですね。でもでも、この空気抜きの穴がエンジン性能に大切な役目をしているのです。ですから、BetaMotorは'10年は一つの穴を、'11年には二つに増設してきたのです。

1.キャブレターの下側のフロート室にはガソリンが溜まっています。
2.この溜まったガソリンを、ガソリンの中に差し込んでいるメインジェットやパイロットジェットを通じてガソリンを吸い上げて、燃焼室に送り込みます。
3.吸い上げられ量が少なくなったフロート室のガソリンは、ガソリンタンクに通じている「フロートバルブ」から流れ出てきて追加され「常に一定の油面」を保ちます。

さて、あなたは鳥やハムスターなんかの小動物を飼っていた事があるでしょうか。この場合の「給水器」を考えて下さい。タンクに水を入れて逆さまにし、下の部分にある「水たまり」に溜まった水を小動物が飲みます。で、飲んだ分だけ「水たまり」の隙間からボコボコとタンクの中に空気が入って行き、飲んだ分だけまた水が補給されるという仕組みですね。

では、この給水器のタンクの上に穴をあけたらどうなるでしょうか。タンクの中の水は全部「水たまり」から流れ出てしまいます。これと同じ原理とは言いませんが、キャブレターのフロート室の中のガソリンを早く大量に「フロートバルブ」から流れ出させる為に、フロート室の上の空気穴が必ず必要なのです。

低速から中速までの回転域では、一つの空気抜き穴で問題ないでしょうが、エンジンをぶん回すと「やっぱり空気穴は二ついる」になったんでしょうね。実際に、穴一つの'10年でヒルクライムをやって、穴二つに改善して同じヒルクライムをやると、回転の上がりが全然違います。

これは、うちの女子部のエース予備の美和レベルでも「体感」出来るそうで、穴二つに改善した美和の'10年Evo2T.250は「1速でギリギリ登れる所が、余裕で1速で上がれるようになった」と喜んでいました。

1.キャブレターオーバーホール、新規ビニールパイプ付き込みで、この改善→4,000円

キャブレターの上のワイヤーの付いている部分のビスネジ2本をはずし、その下側のみを送って下さい。
ちなみに、このケイヒンのキャブレターセッティングの標準は以下の通りです。

・メインジェット⇒125番
・パイロットジェット⇒48番
・ジェットニードルクリップ位置⇒上から4段目
・エアースクリュー戻し⇒2回転(2回転半の方がいい場合が多い)

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team黒山レーシングYAMAHA/代表.黒山一郎

 

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