< 京都/ デルタ二輪専門自動車学校デモンストレーションのご報告 >

全国に二輪専門自動車学校というのは、数多くある「ごく普通」の二輪四輪ありの自動車学校に比べると少ないはず。これはやっぱり「採算が合わない」でしょうが、でもやっぱり「二輪免許だけはスペシャリスト教官のいる二輪専門の学校でとりたい」という、こだわりの生徒さんがいるからに他なりません。

京都南にデルタ二輪専門自動車学校というのがありまして、秋の交通安全運動期間中にあわせて「デルタ祭り(学園祭みたいなもの)」というのを開催し、交通安全啓蒙活動の一環として卒業生や京都の二輪業者他関係者の皆さんにおいでいただいて「安全運転お祭り」をやりましょうというイベント。

京都と言えば「ヤマハ系カスノモーターサイクル」ははずせませんが、もち、学校内に出店をなされておりました。蛇足ですが、うちの1代目のアルゴン溶接機は、このカスノさんのところから譲っていただいたものなんです。

この「デルタ祭り」は9/25(日)に行われまして、黒山選手が午前11時から正午までの1時間トライアルデモンストレーションを行いました。「デルタ祭り」に黒山選手が呼ばれたいきさつは単純で、うちの女子部の京都のメーテルがこの自動車学校の卒業生でして、メーテルのところにも卒業生だから案内状が送ってきて「うちは、こんなトライアルチームに入っているえ」と、自動車学校に連絡したのが始まりのいきさつです。


二輪専門の教官達による大型バイクによるマスゲーム風スラロームデモンストレーション。


出番の前に「緊張しているメーテル」にやさしく「落ち着け落ち着け」と、ジョークを交え話しかけリラックスさせます黒山選手。まるで、兄と妹みたいやね。


トライアルデモンストレーションが始まりました。まずは「スタンディング(その場停止)」の
演技から入る緊張したメーテル。緊張がほぐれるまでは、まだエンジンはかけさせてもらえません。


ここの自動車学校の教官に飛び入り参加させて「スタンディング」をやってもらい、その難しさを説明する黒山選手。


「落ちついたね、じゃあエンジンをかけて走りましょう」と、やさしく話しかける黒山選手。デモンストレーションで一番大切な事は「失敗して観客に突っ込む」事のないようにでして、それがあると、この自動車学校はなくなります。

この為には「実力の半分」で演技をする事が一番ですが、メーテルが「実力の半分」で走りますと、何も出来ませんね。何も出来ないメーテルに何をさせるのでしょうか。そう、立って乗るという初見参のモータースポーツに「女が立って乗っている」と、メーテルは何も出来ないけど「女の色気魅力艶っぽい」で勝負するのです。

だからうちの女子部の全員に「後ろ髪を長く伸ばしなさい、香水をつけなさい化粧をしなさい」とお願いしているのです。「男は度胸、女は愛きょう」は日本人の美学ですね。


緊張が少しほぐれたメーテルが走り始めました。黒山選手が、立って乗る難しさをマイクで説明しています。


前タイヤを上げますが、このレベルのフロントアップで後から聞いてみると「後ろにひっくり返るかと思った」だって。人生で始めてのいい経験をなさいましたメーテルです。見てのとおり、前タイヤを上げた瞬間、もう前タイヤを押さえつけにかかっています。まだまだ、ウイリーで走るなんてとんでもないですね。


短い時間でしたがデモンストレーションが終わって緊張がほぐれ、やっと笑顔が出ましたメーテル。「やったぁ〜♪」ですね。デモンストレーションでもう一つ大切なことは、背が高くないと目立たないから、デモンストレーターは背の高いのが大切なポイントでもあります。

メーテルは168センチありますから、トライアルブーツはいてアライヘルメットをかぶるとゆうに175センチを越えますので、遠くから見ても「目立つ」のです。テクニックはあとからついてきますが、背丈はあとからついてきませんので、メーテルはデモンストレーターとしての武器を最初からもっていますのでいいですね。


さて真打ち、黒山選手のデモンストレーションの始まり〜始まり〜。ドラム缶越えをいたしますが、黒山選手は人間超えはいたしません。だってそんなん「交通安全」ではないですよね。危険をともなう曲芸軽業です。それは中国雑技団におまかせいたしましょう。


高さの低い長椅子を越えます。狩猟民族のスペインやイタリアでデモをやるのなら話は別ですが、おとなしい農耕民族の国民性の日本では、このレベルで皆さんビックリしていただけます。


お母さんに連れられて、お子さん達もたくさんおいでになっていましたので、ゲーム感覚で「さて、うまく割れるかな〜?」の、風船割りを始めました。これは遠くからは見えない「小技」ですので、周囲の何カ所でもやります。

まあ、時間稼ぎといえばいえない事もないですが、これを何も言わずに黙々とやればバカ。おしゃべりの上手な黒山選手が「幼児にも分かる話し方」で丁寧に盛り上げていきますから、お父さんお母さんもお子さんといっしょに盛り上がっていました。

黒山選手の「幼児にも分かる話し方」は、うちに2歳と3歳の悪ガキ小僧が二人いますんで、いつもこの小僧と話している話し方でいいから簡単ですよね。


最初はわざとギリギリではずして、皆さんから「あ〜あ」と残念がらせておく演技も黒山選手は体中で表現して上手です。これには、パントマイムの技術が入りますが、まあ、常に何でも体で勝負している黒山家天性のものもあります。泣かぬ笑わぬ高倉健さんとは、まるで正反対です。

また蛇足、健さんと私は同じ高校の出身で、健さんは18期先輩です。だから私は無口無表情なのです。


最後に前タイヤで風船を踏みつけ割りまして、拍手喝采に持ち込みデモンストレーションを序々に盛り上げていきます。


最後の〆は、姉妹校から持ってきた廃車の乗用車越えで、少しばかり安全運転でない演技をして観客皆さんを興奮のるつぼに引き込みます。まずは、後ろから越えます。


今度は前から登って、屋根の上でウイリーをしてそのまま飛び降ります。そのはるか昔に関東の鶏頂山で全日本があったとき、最終セクションでこの自動車前から越えが出ました。はい私、2回ともボンネットの上に上がれずに5点でした。


皆さん、まさかこのツルツルのボディの自動車を、横からウイリーのまま横登りするとは誰もどころか、自動車学校の教官も思っていなかったらしく、これを最後にやった時は「一瞬シーンとなり、ハッと我にかえったあと、割れんばかりの拍手」でした。

通(つう)が見て、飛びつきに「きっかけ石」か何かを置いていたら「技半分」になりますが、見てのとおり「きっかけ」は何もありません。今の国際A級スーパークラスで100発100中実力の半分で、このツルツル自動車横越えウイリーで降りる自信のあるのは何人いるでしょうか。トライアル場でやるのとは、わけが違うのです。

見ていた観客皆様の全員が、この自動車横越えがとんでもなく難しいのを誰も分かっていないでしょうね。

皆さん、デモンストレーションは自分の持っている技を単純に見せるだけだから簡単とお思いでしょう。でも黒山選手が申しますには「大会よりもスクールよりも、デモが一番難しい」と言います。

  1. 演技をするのは簡単だけど、一番の問題は「観客を盛り上げさせる」事が出来るかどうか。これが出来ないと、次は声をかけてもらえないしプロはこれが一番痛い。
  2. 常に観客の反応を見て、出し物を変えてみたり、話し方を変えてみたり等々考えながらやらないといけない。
  3. トライアルを知っている人の中のデモと、まったくトライアルを知らない人の中でのデモも、これまた内容がまったく違う。
  4. 今回のデモの内容を、イーハートーヴ前夜祭のデモでやると「帰れ帰れもう来るなコール」になる。
  5. 大会みたいに120%の力でやると誰が見ても迫力が分かるけど、安全のため50%の力で淡々とやる必要があり、その迫力のない中で盛り上げるのはなかなか難しい。
  6. トライアルの分かっている人のMC(おしゃべり役)は日本には何人もいないので、結局、自分で喋ることになり「走り喋る」のも難しい。
  7. まあ、エンターテイメント歌手芸人と同じです。

だそうです。


デモンストレーションが終ったあとは、いつものように子供さん連れや皆さんの記念撮影に応じる黒山選手とメーテルでした。

黒山選手、いつもはヤマハ発動機(株)からのデモンストレーション依頼ですが、今回、始めてヤマハ依頼でないデモをやりまして無事に成功。このようなトライアルデモンストレーションを通じて、全国にトライアルと交通安全運転が広がっていけばいいですね。

元大阪府警白バイ隊員で、今回、教官達がやった安全運転マスゲームデモをたくさんやった経験のあるイチロ監督より。