<スコルパTY-S125Fライダーに告ぐ、その4>

今回は排気系、それも「エキゾーストパイプ(以後、エキパイと略)」と「サイレンサー」のお話しです。

16世紀にイギリスから始まった産業革命の原動力は、ヤカンのフタを押し上げる「蒸気」の力です。以後、レシプロエンジンが発明され「ガソリンの爆発」の力が使われるようになっていきました。

2stと4stって、どっちが先だと思います。アイディアは4stが先で、実用化は2stが先なのが正解。「吸気→圧縮→爆発→排気」の行程は、もちろん4stの方が役割分担がはっきり しているから、すぐにアイディアは思いつきます。

ですが、その昔は「バルブの密着性」ようは、フタというか弁(バルブ)の役目をする金属に性能/耐久性のいいのがまだなくて、アイディア倒れで終っていました。で、バルブが必要ない「後発アイディア」の2stの方が先に実用化されたといういきさつ。

当然、ガソリンを爆発させて動力を得るわけですから、2stも4stも爆発音を消す「音消し装置」が必要ですね。

そうこうしているうちに、イギリス人のジェームス.カデナシというおじさんが「音消し装置を工夫すれば、エンジンを好みの性能に変えられるのと、力がもっと出る」という大発見をしたのです。

これって、胃や腸では栄養を吸収するけど、ウン○をためている大腸では、ただウン○をためているだけと思われていたのに、何の何の、出口付近の大腸でもかなりの栄養を吸収する性能を発見したのとよく似ていますよね。

だから、口から飲む「痛み止め」よりも、お尻から入れる「座薬」の方が、早く強く効くのです。

零戦なんかの戦闘機の機関士(メカニック)をしていた、ロードの神様/ポップ吉村さんは、4st多気筒軍用エンジンはすべて「集合マフラー」なのを知っていました。 

で、終戦後、進駐米空軍の飛行場でのレース合戦で、自分とこだけ4st2気筒エンジンを集合マフラーにして連戦連勝したのは有名な話です。

2stは「エキパイ→チャンバー→サイレンサー」の3点セットで、エンジン性能をコントロールしていますが、4stは真ん中のチャンバーがなくて「エキパイ→サイレンサー」の二つだけです。

黒山選手は、11年間のBetaMotorワークス時代に、テクノやRev-3の開発テストをしました。こと、2stのエキパイに関していえば「2stのエキパイはステンレスで決まり」です。鉄やステンレスやチタンで、そして、それぞれの材質は同じでも「厚さ」の違う種類もたくさんテストしました。

結果「2stのエキパイはステンレス」でしたね。M社のワークスバイクも、やっぱりステンレスエキパイを使っていました。

今回は、こと4stの排気系についてのみのお話しです。

結論を先に書けば、4stのエキパイは「チタン」で決まりです。テストですぐに性能差が分かるのは、250よりもパワーのない125の方です。それはそうで、250はパワーに余裕があるから排気系の少しの違いだけでは、体感しにくいのです。でも125は、すべてがギリギリのところの性能を維持していますので、どこの部分であれ少しの変更で違いが体感できますね。

フライホイル削りのところで書いたけど「テストというものは、前のテスト品の感覚を忘れないうちに、次をやらないと正しいテストではない」ですね。

写真の2台のTY-S125F、エンジンはまったく同じです。そして、サイレンサーもまったく同じです。違いますのは、見て分かる通りエキパイでして、左が「チタン製」で右が「スタンダード鉄製」なの。

この2台を、入れ替わり立ち替わり、とっかえひっかえして乗り比べテストしますと「民間人」でも、その違いが体感出来ます。どういう体感なのでしょうか。ずばり、トルクとパワーの違いが分かります。

左の純正スタンダード鉄製は「16,800円」で、右のチタン製は「19,800円」です。

同じチタン製エキパイでも、左のHONDA/RTL250用は「23,800円」ですが、見てのとおり、単純にチタンの量の多い方が原価が高い筈なのに、TY-S125F用は逆に安いのです。
これって「???」とか言いようがありません。

次に重さですが、純正鉄エキパイは「880g」あります。

チタン製は、何と1/3以下の「280g」でして、パワーのないTY-S125Fには重量だけでもとても助かります。

1.軽量、2.トルクとパワーが出る、この二つ以外にもうひとつ素晴らしい性能を持っているのがチタンエキパイでして、それは「鉄製よりも高熱になる」という事で「内部にカーボーンがほとんど付かない」のですね。

当然、熱で焼き切りカーボンの少なくなった排気煙が、そのまますぐ後ろのサイレンサーに行くもんで、結果、サイレンサー内側にもカーボン付着は少なくなります。

これで、チタンエキパイのお話しはおしまい。

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さて、次はサイレンサーのお話しに進みます。先に出てきました2台のTY-S125Fのサイレンサーは、スタンダードのを少しばかり改善をしています。

これが、スタンダードのサイレンサー外見です。

取り外して、前側の「4本のリベット」をドリルでもんで取り去ります。

フタが、はずれました。

中から「パンチングパイプ(穴あきパイプ)を引き抜きます。のぞいてみて、内部につめてあるグラスウールがけっこうボロボロで、グラスウールも交換するんだったら強引にパンチングパイプを引き抜いてもいいけど、交換しないんだったら「ジワ〜ッ」 と引き抜いて下さいね。

普通は、パンチングパイプは筒抜けの、単なるパイプです。でも、TY-S125Fのサイレンサーの中にあるパンチングパイプには、このような鉄棒が中の通路をふさぐようにして付けてあります。

中をのぞくと、こんな感じで「通路をふさぎ音を消しています」が、やっぱり、これではトルクもパワーも落ちますよね。

この音消し用の鉄棒が、4本のTレンチで示しているように「4カ所」もあり、中の通路をふさいでいるのです。

4カ所にあります、音消し鉄棒「すべて取り去り、筒抜け」にしますと、音が相当にうるさくなるのと、それよりも何よりも「パワーがいきなり最高までいってしまい」一番大切で一番使う真ん中が使えなくなって、真ん中付近のトルクがなくなってしまいます。

ひとつだけ取ってみたり、3つ取ってみたり、はたまた、どの部分のをとったらを繰り返しテストしました。結果、一番「125トライアルに合った性能」が出たのはどれでしょうか。

これって企業秘密なんだけど、道具さえあれば誰でも出来る作業なんだから、教えましょうね企業秘密。

それは「両端の二つを残し、真ん中のふたつを取り去る」ですね。性能はもちろんの事、一番気になります「排気音」も「少し大きくなった」のレベルで止まります。

民間人でも出来ますんでお暇な方、試しに逆に「真ん中の2本を残して、両端の2本を取って」みて下さい。全体的なパワーはそんなには変わりませんが、真ん中2カ所取ったのにくらべて、あきらかに下のトルクがなくなったのが体感で来ますよ。

これが鉄棒を抜いた跡で、パンチングパイプに大きな穴があいています。これは、似たようなパンチングパイプの切れ端を溶接してふさいだ方がベステなんだろうけど、民間人には多分それは無理で、ふさいだのを入れても、このままのを入れても「性能は変わらず」だから、このままサイレンサーに入れて下さいね。

性能が変わらないのは、多分、4stのグラスウールは2stみたいに、オイルでベトベトになっていないからかもしれません。

サイレンサー、ここまでやったら、あとの作業は「バラした」のの逆に組み上げていけばいいだけです。さあ、やりましょう。

以上「チタンエキパイ」+「スタンダード改善サイレンサー」のコラボレーションにより、これの排気系の改善が原因で、だから125cc二郎君は「近畿選手権、連戦連勝負けなし、チャンピオン街道まっしぐら」とは言いませんが、125(正確には123.6cc) のままいくと決めているんで、排気系をいじり少しでもパヮーアップになればと「改善ご報告」を申し上げた次第です。

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またまた最後に、香具師.テキ屋.露天商がチョロチョロと出てまいりました。

●チタンエキパイ→19,800円 (送料→サービス)

*純正スタンダードは16,800円ですので、凹まして買い替えをお考えの貴兄には3,000円ばっかし高いですが、圧倒的に、値段差よりも性能差にビックリします。

●サイレンサースタンダード改善

*道具さえあれば自分で出来る何てそそのかしましたが、実際のところ、民間人の皆様にはなかなかそうはいきません。サイレンサーだけ当方に送って下さい。

・サイレンサーばらし組みして、パンチングパイプだけの改善 →4,000円
・サイレンサーばらし組みして、パンチングパイプ焼き上げと改善 +グラスウール交換→7,000円 

(チタンエキパイと込みなら送料→サービス、サイレンサー改善だけなら送料ご負担下さい)

これでよかったら、大蔵省の奥様にご相談の上、お宝を捻出下さいね。

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*黒山レーシング(Since2006)?
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