スコルパライダーに告ぐ(SY250R編) その5

スコルパの4st、250と125のチェーンテンショナーの付け根が「かしめてあるだけ」なんで、使い込んでいると「グラグラ」になりますから、その部分を「がっちりと固め、左右オイルシール付きのローラーベアリング」方式に変更します、というような広告案内を「スコルパライダーに告ぐ、その1」でいたしました。

これって「4stの250と125だけですよ」でしたが、2stSY250にお乗りのお方から「2stの治具がないのなら、私が新品を持っていますので、これで治具を作ると同時に、それをベアリング方式に改善してもらえませんか」の依頼があり。

何年か前までは、Beta専門でしたが、いまは「スコルパ専門になりつつある黒山レーシング」といたしましては「渡りに船」でして「すぐに送って」で、改善をした次第。

これが新品の2stSY250用のチェーンテンショナー本体です。

将来、必ずグラグラしてゆるんでくる部分をプレスで押し出します。

分離しました。写真は少し暗いですが、カメラがそう撮っているだけで本当は明るいのです。

新規に旋盤で作りました左のローラーベアリングを入れるアルミ製「筒」みたいなのを、元々あいている穴に入れるわけですが、この最初からあいているスタンダード穴は小さすぎます。



で、フライス盤にベタバイスを固定し、ドリルでもんで穴径を広げます。元々の穴径の中心に、大きなドリルのセンターを合わせるわけですが、ダイアルゲージを使ってなんて面倒な事はいたしません

「感と度胸」でセンターを出すのは「長年の熟練の技ウンヌン」とかのエエ格好の表現でなくて「長い事、数やっていたら誰でも出来るようになる」の範ちゅうです。要領さえ飲み込めば、簡単簡単です。

この証拠写真の通り「感と度胸」だけで、前の穴とほぼ同じ位置に大きな穴があきました。

中央の新たに作りましたオリジナルの筒が入ります穴があきまして、まず、真ん中の筒を、この穴の中に入れまして、次に左端のローラーベアリングを筒の中に入れるわけです。

オリジナル筒の外径よりも、穴径は3/100ミリ程小さくあけます。というより、ドリルであける穴径は決まっていますので、新たに作るオリジナルアルミの筒の外径を、3/100ミリほど穴径よりも大きく作ります、という方が正しいのです。

新たに作りました筒を、プレスで「傾かないよう」に上下を治具で囲って慎重に入れていきます

正確に入りました。右のがスタンダードの始めから入っていた筒です。見るからに頑丈そうでしょう。

この新たに入れた筒は、この状態ではスタンダードと同じく「かしめ」ただけの状態です。で、外周を3カ所溶接をして、ガッチリと固定します

全周溶接をせずに、均等に3カ所を溶接します。この意味は後ほど。

黒山選手と二郎君のバイクに、全日本選手権と近畿選手権に現在も使用中ですが、全周溶接しなくても、これで強度的に全然問題ありません。何事も、現役最強ライダーでテストするのが一番の説得力ですね。

新たに作りました筒に、この左右オイルシール付きローラーベアリングを入れますが、この筒を「かしめ」でなくて、溶接でチェーンテンショナー本体に合体しますと、溶接熱で「芯円」が狂いますので、溶接後、正しく芯円をあけなおす必要があります。

ということは、最初からこの筒の穴は少し小さくあけているのです。

旋盤でくわえて、ドリルで穴をもみます。筒を全周溶接しなかったのは、ここに意味がありまして、全周溶接しますと旋盤にくわえられないのです。

ベアリングはほとんどの場合、狭い穴の中に無理矢理入れて固定します。これだと、誰が考えても「ベアリングの動きが悪くなるんと違うの」ですが、まさにその通りです。ですから、最初からガタのあるサイズのベアリングを用意して打ち込み、キチキチ打ち込んだ状態で「ちょうどいい動き」の状態になるように、穴径を最初からそう設計しています。

ですが、このオイルシール付きローラーベアリングには「最初からガタのある」のはなくて、狭い穴に無理やりプレスで押し込むと、確かに動きが少し悪くなります。

この場合の解決策は、ローラーベアリングがすんなり入るくらいのユルユルの穴径をあけて「工業用の強力接着剤で固める」です。写真の通り、ローラーベアリング外周と穴径内周に強力接着剤を塗布します。

あんたねぇ、今の工業用の強力接着剤の恐ろしさって知っていますか。固まったら最後、叩こうがひねろうが、何をしてもはずれなくなります。はずす方法はただひとつ、230度以上に温めて接着剤を溶かすしか方法がないのです。

接着剤が固まりまして、ローラーベアリング内側にカラーを入れました。右側が、純正のスタンダードのカラーです。

この状態で、定盤にかけて「チェーンスライダーブロック取り付け」の位置を正しく出します。このチェーンテンショナーは新品ですので、最初から正しい位置ですね。

右がスタンダードのスプリング、左が改善時にお付けする日本製のスプリングです。スタンダードのスプリングは、何故か必ず折れるか、伸びきってしまいビロンビロンになってしまいます。誰が見ても、安心なのは左の日本製でしょう。

これが完成した作品です。

バラしてはならない企業秘密の製作行程を、アッと驚く情報公開いたしました。何でかというと、自分で出来る修理や改善は、どしどし自分でやって経費の節減し、金銭的負担をなくし、長くトライアルを趣味として続けてほしいからの願いです。

まずは、トライアル底辺の人口を増やすのが「トライアル発展」の第一歩ですね。頂点の最先端は、黒山選手におまかせ下さい。

エンジンの内部とか、カムの隙間調整とか、けっこう神の領域の作業は無理としても、チェーンテンショナーなんて失敗しても体勢に影響ない部分。チェーンテンショナー、自分で改善のお方は、これを参考に改善しなさって下さいね。

プレス機、フライス盤、旋盤、アルゴン溶接機の工作機械と、部品として、左右オイルシール付きローラーベアリングと、これを入れる新規に作るアルミカラーの筒、それに強化スプリング、工業用の強力接着剤、ボルトやワッシャが必要です。

作業製作行程を見ると、こんなんだったら自分でやらずに「あっさり4,500円出して」やってもらう方がいい結論ですが、熟練工を目指すアマチュアメカニック民間人お方は「千里の道も一歩から」ですので、まずは自分のをやらずに、人のをやって失敗を重ね実力を付け、実力がついた時点で自分のをやるのがよろしい。

大きな声では言えませんが「本物の医者には、診断ミスで3人殺さないとなれない」と、整形外科専門.正看護婦さんを42年間やって、最後には婦長さんで定年になった私の実姉の、恐ろしいお言葉。この「恐ろしい」お言葉の通り、人のでまずは失敗しましょうね。

ということで「チェーンテンショナー改善は4stのみ」の案内でしたが、おかげさまで2stのSY250も可能になりました事を、ご報告いたします。

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